【2026センバツ分析】金田監督の「矛盾」と、仁礼パスカル投手を信じ抜く勇気
先日の中京大中京戦、延長10回タイブレイクの末に4-9で敗れた帝京。
4点差を追いつく粘りには目を見張るものがありましたが、それよりも勝負をわけたのは、
4回という早い段階で仁礼パスカルジュニア投手を交代したところかなと思いました。
ベンチに映った仁礼パスカルの表情もどことなく釈然としていない気持ちを
抑え込み、自分を納得させようとしているようにみえました。
あの場面、なぜ交代させてしまったのか?
金田監督の心の中にあった「矛盾」について、客観的な事実から考察してみます。
1. 「データ」と「嫌な予感」のあいだで
4回までに仁礼投手が浴びた安打は8本。これだけ見れば「ピンチの連続」に
映るかもしれません。しかし、その内容はすべてシングルヒットでした。
実況の方も驚いて指摘していましたが、帝京の外野陣はピンチの場面でも
極端な**「前進守備」**を敷いていました。これは、120km台の動く直球と100km台の
カーブで「芯を外している」ことを、金田監督が確信していた証拠です。
理論的には「長打の心配はない、外野の頭は越されない」と判断していたはずです。
2. 蘇った「山梨学院戦」のトラウマ
では、なぜ金田監督は自ら敷いた守備の論理を、自ら破るような交代を
選んだのでしょうか。そこには昨秋の明治神宮大会、山梨学院戦の記憶が
影を落としていたとみています。
あの試合、仁礼投手は実に13本のヒットを浴びながらも、
7回まで強打の山梨学院を2失点に抑える粘走を見せていました。
芯を外す投球で長打を許さず、併殺やフライアウトでピンチをしのぐ。
それこそが彼の真骨頂でした。
しかし8回、4連打を浴びて突如崩れます。
1番・石井選手に満塁から許した、あの走者一掃のタイムリー二塁打。
それまで13本の安打を許しながら唯一打たれた長打が、
試合を決定づける一打となってしまいました。
「粘って、粘っても、最後に長打に泣く」
この切り取られた瞬間の記憶が、今回の中京戦でもシングルヒットを浴びるたびに、
「あの時のように最後はドカンと打たれるんじゃないか」という嫌な予感を増幅させ、
冷静な判断を金田監督から奪ったのではないでしょうか。
安藤丈二投手が恐らくケガかコンディション不良で登板ができないことが
わかっていたので、その焦りもあったかもしれません。
3. 仁礼パスカルを「本物のエース」として信じる
しかし、仁礼バスカルの実績をみてみましょう。
都大会準々決勝の大一番で日大三高を完封、
明治神宮大会でも強打の山梨学院を8回途中まで2失点に抑え、
センバツ初戦では沖縄尚学に8回途中まで自責点1、
そして今回の中京大中京も被安打は多いものの崩れない。
これだけの強豪を相手に、常に「要所を締め、決定的な長打を許さない」投球を
続けてきた事実は重いものです。
120km台の動く球で全国の強打者のタイミングを外す彼のスタイルは、
決して「運」ではなく、磨き上げられた立派な「技術」です。
全国の猛者たちが芯を捉えきれない球が、東京のチームに通用しないわけがありません。
安藤丈二選手が夏に万全かどうか不透明な今、金田監督に提案したいのは、
「仁礼パスカルをエースとして信じ切る」覚悟を持つことです。
「後ろに安藤がいないから不安」という欠乏の視点ではなく、
「仁礼パスカルなら終盤まで抑えてくれるから大丈夫だ」という充足の視点への転換です。
4月からの春季大会は、その信頼を深めるための「実験場」にするべきではないでしょうか。
全試合、仁礼投手を先発させ、そこからの継投で誰がリリーフに適しているか、
誰が火消しをできるかを徹底的にテストする。
そして何より、監督自身が「仁礼なら最後までいける」と腹を括るための
時間にするのです。
今年の夏、神宮でエースとして、信頼されている仁礼の姿が今から楽しみです。
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